tekitou’s diary

とても雑多な記事。オタク事。

ブレイブストーリーのラストを受け入れられぬまま

ブレイブストーリーのうろ覚えあらすじとラストのネタバレするよ!間違ってるかもしれないよ。
 
 
 
 
 

小学生の頃、父親にブレイブストーリーを買い与えられた。映画化する前のことだったと記憶している。

上下巻だったろうか。そこそこのボリュームで、本好きだった私も流石に一気読みと言うわけにはいかなかった。日にちを分けて読み進める。朝の読書タイムにちまちま、家に帰って黙々。
 
 
序盤、主人公である亘と亘の母親は悲惨な運命に翻弄される。
父親が家を出て行ったのだ。そして不倫相手の登場。
亘と母親は二人取り残される。
亘は自殺を図るまでに追い詰められる母親を間近で見ることとなり、また出ていった父親にたったひとりで会いに行き「帰ってきて」と嘆願するも父親の決意は揺るがない。この時点でもう勇敢だよ亘。ブレイブストーリーの主人公だよ。
 
これを読んだ時はたいそう胸糞悪くなったものだ。思い出した今でも腹が立つ。
子供と言うのは正義感が強いもので、弱きものは護られ、狡き/強きものは挫かれるべきだと憤慨する。
不倫相手地獄に落ちろ!父親は泣いて謝れば許さんでもない。過激な正義感による謎ルールを制定して精神を安定させ、歯噛みしながら先を読む。
異世界で、旅を果たせば何でも願いが叶う」。……そうそう、これだよこれ!
子供と言うのは実はけっこう賢しいもので、物語の最後にはなんだかんだ解決、ハッピーエンドが待っていると知っているのだ。
最後のハッピーエンド、これまでのもやもやを解消するために読み進めていく。カタルシスのために。
 
 
だが最終的には父親と、不倫相手はそれっきり。
異世界から帰ってきた亘は現実を受け入れ、母親と共にふたりで生きていく決心をする。
大人になった亘の逞しさに、母親も気付く。
 
話はここまでだったか、さらにエピローグがあったか。私の記憶はここまでだ。
 
 
──
 
読み終えたあと、私の胸には釈然としない感情、それどころか亘に対する怒りすら沸き上がった。
勧善懲悪を大きなモチベーションとしていた。不義理な二人は最後に罰せられるのだと信じて疑わなかった。だからここまで読んだのにどうしてこんな。
勝手に裏切られた気持ちだった。
 
他人を不幸に突き落とした奴らがそこにいるのに。
傷心中の私の母親の前に現れてわざわざ「子供がいるのよ」と勝利宣言しにきたあのイヤな不倫相手を。
思春期真っ只中のいたいけな少年にトラウマレベルのいざこざを起こして去ったあの父親と呼んで良いかもわからない人間を。
なんの制裁もなく野放しにするのか。
 
未だに思い出してはあれこれ思う。書きながら涙している。
もしかしたらある意味一番思い入れのあるトラウマ小説なのかもしれない。
 
亘は物語を通じて成長した。現実で生きていく心の強さを得た。その選択が尊いものだと理解はできる。
しかし私はまだ小学生の時と同じ感情に囚われたまま。
亘の成長を羨ましく妬ましく怨めしく思っている。